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社員寮を「廃止」する前に考えるべきこと|背景・リスク・次の選択肢を徹底解説

社員寮を長年運用してきた企業の中には、老朽化や運営コストの増大などを背景に、寮の廃止を検討するケースが増えています。

しかし、社員寮は単なる宿泊施設ではなく、採用・定着・健康支援など、企業に多くのメリットをもたらす存在です。安易な廃止は、思わぬリスクを招くこともあります。

本記事では、社員寮を廃止する背景やその影響を整理したうえで、「今の時代に合った形へ再構築」するための考え方と方法を解説します。

社員寮を“終わらせる”のではなく、“進化させる”ためのヒントとしてご覧ください。

なぜ今、社員寮を「廃止」する企業が増えているのか

かつては新入社員や地方出身者の受け皿として多くの企業が社員寮を設けていましたが、近年では「廃止」や「外部委託」など、寮のあり方を見直す動きが進んでいます。その背景には、次のような経営・社会環境の変化があります。

老朽化と修繕費用の高騰

旧来的な社員寮の多くは、1980年代以前に建てられたもので、すでに築30〜40年を超えています。当時は、新入社員が寮に入るのが一般的で、企業として住まいを用意することが当然とされていました。

こうした背景から建てられた寮は、現在の安全基準や生活スタイルとは前提が異なり、設備の老朽化や居住性の課題が顕在化しています。結果として、修繕・建て替えに多額の費用がかかるケースが増えているのが実情です。

社員ニーズの多様化と入居率の低下

若手社員のライフスタイルや価値観の変化により、社員寮の利用率が低下する傾向があります。「通勤よりもプライベート時間を重視したい」「職住分離をしっかりしたい」といった志向が強まり、寮生活を選ばない層も増加しています。

一方で、家賃高騰やコミュニティ形成などを背景に、社員寮の価値を再評価する声もあり、企業はその“選ばれ方”を再設計することが求められています。

採用・定着戦略の変化

人材獲得競争が激化する中で、かつては「社員寮がある=福利厚生が手厚い」と評価されていました。

しかし近年は、リモートワークや地域分散採用など多様な働き方が広がり、寮だけで採用力を支える時代ではなくなっています。

そのため、社員寮を中心とした福利厚生から、住宅手当・リモート支援などを組み合わせた総合的な人材施策へと転換が進んでいます。

企業不動産(CRE)戦略の見直し

土地・建物といった自社保有資産をどう活かすかという観点でも、社員寮は再検討の対象になっています。

遊休化した寮を手放し現金化を図る企業もあれば、外部運営を通じて新たな収益源として資産効率を高める企業もあります。単なるコストではなく、「経営資源の最適化」として社員寮をどう位置づけるかが問われているのです。

 

社員寮を廃止する際に生じる主なリスク

社員寮を廃止することで運営コストを削減できる反面、企業や社員にとっては見過ごせないリスクも存在します。

採用競争力の低下

地方出身の若手人材にとって、住まいの確保は就職先を選ぶ際の大きな要素です。社員寮がないことで「入社後の生活が不安」と感じる学生も多く、採用段階での競争力が低下する可能性があります。

社員満足度・定着率の低下

社員寮を廃止した結果、通勤時間や家賃負担が増し、生活の満足度が下がるケースがあります。特に新入社員にとっては、寮で得られる「生活の基盤」と「同期との交流」が失われ、早期離職の一因になることもあります。

住居確保・引越し対応の負担増

寮廃止に伴い、社員の新居探しや引越し支援など、多くの実務対応が必要になります。総務・人事部門の負担が急増するほか、移行期間中のトラブルが発生しやすい点にも注意が必要です。

企業ブランドへの影響

社員寮は「社員を大切にする企業文化」の象徴でもあります。急な廃止やサポート不足が目立つと、「福利厚生を縮小した企業」としてマイナスの印象を持たれることもあります。こうしたリスクを踏まえ、廃止を検討する際には長期的な視点が求められます。

 

社員寮の「廃止」から「価値転換」へ

社員寮は、単なる宿泊施設ではなく、採用・定着・健康経営など多面的な価値をもつ「企業資産」です。

老朽化や入居率の低下といった課題があっても、すぐに廃止するのではなく、「今の時代に合う形に転換する」という発想が重要です。

社員寮がもたらす「目に見えない価値」

社員寮は、単に家賃を抑えるための施設ではありません。

新入社員の生活リズムを支え、コミュニティ形成を促進し、健康的な食事環境を提供するなど、日々の生活を支えるインフラでもあります。こうした価値は採用力やエンゲージメントにも直結します。

時代に合わせて役割を再設計する視点

独身者向けの宿泊機能にとどまらず、在宅勤務者の一時利用、研修施設、短期赴任者の受け入れなど、用途を柔軟に変えることで新たな役割を生み出せます。

社員のライフスタイルが多様化する今こそ、寮の使い方をアップデートする時期といえるでしょう。

経営戦略の一部として再定義する

社員寮を「福利厚生の一環」としてではなく、人材定着・企業ブランディング・不動産活用といった複数の視点で捉えることが、次の一手になります。

こうした“価値転換”の視点を持つことで、廃止に代わるより効果的な選択肢が見えてきます。

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廃止を決定する前に検討すべき「再構築」の選択肢

社員寮を「どう活かすか」を考えるとき、選択肢は「保有して再生」「保有して外部化」「売却して代替」の大きく3つに分かれます。それぞれの特徴を整理してみましょう。

老朽寮のリノベーション・リフォーム(売却しない)

老朽化した建物を取り壊すのではなく、部分的な改修やリノベーションによって再生する方法です。

耐震補強や水回りの更新、共用スペースの快適化などを行えば、現代の働き方や生活様式に合った寮として再活用できます。「自社資産を引き続き活用したい」「建て替えコストを抑えたい」企業に適しています。

賃貸化+外部サービス活用による再構築(売却しない)

自社での管理・運営をやめ、外部事業者と賃貸借契約を結んで社員寮として再運営する方法です。

企業はオーナーとして建物を保有したまま、運営や入居管理などの業務を外部に委ねることで、人的・時間的コストを大幅に削減できます。

さらに、食事提供や常駐スタッフによる生活サポートなど、専門事業者ならではのサービスを取り入れることで、社員にとっても安心・快適な環境を維持できます。

こうした「資産は残し、運営を委託する」仕組みは、近年の寮再生モデルとして注目されており、弊社が展開するドーミーでも社員寮として再活用する事例が増えています。

借上げ寮・社宅制度の活用(売却して代替)

老朽化した寮を売却し、その代わりに社員の居住支援を外部賃貸や家賃補助で行うモデルです。

社員が希望する地域・条件に応じて柔軟に住まいを選べるため、ライフスタイルの多様化にも対応しやすい仕組みといえます。

不動産の維持コストやリスクを減らしつつ、住宅支援機能を継続できる点が特徴です。

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社員寮の廃止は「終わり」ではなく「始まり」

社員寮を廃止するという判断は、企業にとって一つの転換点です。

重要なのは「なぜ廃止するのか」ではなく、「その後どうするのか」を明確に描くこと。コスト削減だけでなく、人材戦略や福利厚生の質の維持を見据え、自社に最適な形で“住まいの支援”を再構築することが求められます。

ドーミービズでは、社員寮の見直しや外部委託・再構築に関するご相談にも対応しています。
社員寮の廃止を検討する際は、ぜひ“価値を残す”という視点から、最適な方向を検討してみてください。

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